注目の論文
バッテン病の新しい薬剤
Nature Neuroscience
2013年9月23日
A new drug target for Batten disease
小児の悲惨な神経変性疾患であるバッテン病のマウスモデルで、細胞死を軽減し寿命を延ばす抗酸化物質についての報告が、今週オンライン版に掲載される。この結果は、同じような特性を持つ薬剤がこの疾患や同様の欠陥を原因とする他の疾患の治療に用いられる可能性を示している。
バッテン病の中でも重篤な小児神経性セロイドリポフスチン沈着症(INCL)は、幼児期に発症する神経変性疾患で、盲目、運動・精神機能の喪失を引き起こし、死に至る病気である。その原因は、リソソームの機能不全を引き起こすPPT1遺伝子の突然変異である。リソソームは、細胞に不要となった物質を分解するのに重要な細胞小器官である。これら変異はリソソーム酵素によるある種のタンパク質の分解を妨げ、結果として細胞内に蓄積するこれらタンパク質が毒性を示す。
Anil Mukherjeeらは、実験室条件でNtBuHAという既知の化学薬剤がPPT1変異による分子欠陥を補完できることを発見した。この抗酸化剤に毒性はなく、INCL患者から採取した培養細胞において、タンパク質の異常な集積と結果として起こる細胞死を緩和した。PPT1変異を持つつマウスでは、NtBuHAが神経細胞の喪失を防ぎ、行動の低下を緩和し、生存率を上昇させた。それに加え重要なことに、NtBuHAは血液脳関門を通過するので、INCLの諸相のうち中枢神経系に対する有望な治療手段と期待される。
doi: 10.1038/nn.3526
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