考古学:東アジアにおける複合工具製作の最も古い証拠
Nature Communications
2026年1月28日
Archaeology: Earliest known evidence of composite toolmaking in Eastern Asia
中国中部の初期人類は、16万年前という非常に早い時期から洗練された石器を製作していたかもしれないことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この発見は、この時期のアジアにおける石器技術がヨーロッパやアフリカよりも遅れていたというこれまでの認識に異議を唱えるものである。
石器技術の革新(たとえば、正式な骨製工具、装飾品としての利用、および顔料の使用など)は、初期人類の行動の複雑化と関連づけられることが多い。こうした革新は、中期更新世(Middle Pleistocene)の後半(およそ30万~5万年前)にアフリカと西ヨーロッパで生じたと考えられてきた。しかし、アジアの考古学的記録は、複雑な石器がはるかに遅い時期、約4万年前まで出現しなかったことを示唆していた。
Shi-Xia Yangら(中国科学院〔中国〕)は、中国中部の河南省(Henan Province)西溝(Xigou)で発掘された石器2601点(おもに石英および珪岩)の発見を発表した。年代は、約16万年前から7万2000年前と推定される。著者らは、出土品の中に柄付き工具(刃部と柄が結合されたもの)を特定し、東アジアにおける複合工具の最古の証拠を提示した。出土品の大半は、50ミリメートル未満のサイズで、剥片や破片といった分離した状態で発見されている。切断具、削器、および穿孔具など、多様な工具の製作技術は、複数の中間工程を要する高度なものであり、計画性や先見性の存在も伺える。さらに著者らは、工具表面の微細な摩耗パターンから、木材や葦などの植物材料を切断するのに使用された可能性も示唆している。
こうした技術革新は、同地域におけるホミニン(hominins)の脳容量拡大を示す最近の証拠とも一致する。著者らは、人類の祖先がアフリカや西ヨーロッパに加え、中期更新世の後期から後期更新世の中期にかけてアジア全域で複雑な技術を創出していた可能性を示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 27 January 2026
Yue, JP., Song, GD., Yang, SX. et al. Technological innovations and hafted technology in central China ~160,000–72,000 years ago. Nat Commun 17, 615 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-025-67601-y
doi: 10.1038/s41467-025-67601-y
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