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疫学:COVID-19による世界の超過死亡者数の推計

Nature

2022年12月15日

Epidemiology: Estimates of global COVID-19 excess mortality

2020〜2021年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界の超過死亡者数は、世界保健機関(WHO)の推計で約1483万人であることが明らかになった。この推計値は、同じ期間中のCOVID-19を原因とした死亡の報告件数の約3倍に相当する。この推計について報告する論文がNatureに掲載される。

COVID-19が世界人口に及ぼす影響の全体を評価することには困難が伴っていた。そこには、検査の利用しやすさ、死因の報告基準、COVID-19の死因認定などに一貫性がないといった要因が関係していた。COVID-19のパンデミック(世界的大流行)では、COVID-19が直接の原因とならなくても、多大な副次的損害が発生し、人々の生活や生命に深刻な被害が生じた。

今回、William Msemburiたちは、こうした人命の損失を世界規模で定量化するため、超過死亡者数を推定した。そのために、2020年と2021年の死亡データとCOVID-19パンデミックが発生しなかったという仮定に基づいた予想死亡者数との比較が行われた。そして、この予想死亡者数を導き出し、不完全な死亡データしかない国や死亡データがない国の2020~2021年の死亡者数を推定するために数学的モデルを用いて研究が行う必要があった。詳細で完全な死亡データを入手できたのは、世界で100か国(52%)だけだった。

Msemburiたちの解析の結果、COVID-19が世界全体で1330万〜1660万人(1483万人である可能性が最も高い)の超過死亡者の原因となり、この死亡者数が、以前の研究で報告された542万人の2.74倍に相当することが判明した。超過死亡者数は2020年に447万人、2021年に1036万人であった。超過死亡者数には、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を直接の原因とする死亡者の総数と必須医療サービスの中断や旅行の中断などの間接的な影響による死亡者の両方が含まれる。WHOの推定値は、同様の推定値の中で最も控え目なものとなった。Msemburiたちは、上記の結論を導き出すために必要だった統計モデルの性質上、推計値のいくつかについては慎重に解釈することを推奨している。

doi: 10.1038/s41586-022-05522-2

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