注目の論文
悪性肝臓がんの解明に進展
Nature Communications
2011年6月8日
Understanding aggressive liver cancer
肝臓がんにおける悪性腫瘍に関連する分子経路に関する新知見が、今週、Nature Communicationsで発表される。この新知見は、特定のタイプのがんの新たな治療標的候補を見つけ出すうえで役立つかもしれない。
血清バイオマーカーは、肝臓がんのモニタリングにおいて侵襲的な臨床検査に代わる方法として用いられている。なかでも最も広範に利用されているバイオマーカーが、αフェトプロテイン(AFP)で、悪性腫瘍の挙動に関連すると考えられている。しかし、この関連性が偶然のものなのかどうかがわかっていなかった。今回、小島健太郎らは、肝臓に特異的なマイクロRNA(miR122)と転写因子(CUX1)がマウスとヒトの肝臓がん細胞におけるAFPの発現を調節していることを明らかにした。そして、miR122が失われていると、血清AFP濃度が上昇し、悪性度の高い肝臓腫瘍が発生することを実証した。
今回得られた知見によって、AFPと腫瘍の悪性度との関係の背後にある複雑なプロセスが明らかになり、miR122とCUX1が肝臓がんの治療標的となりうる可能性が浮上した。
doi: 10.1038/ncomms1345
注目の論文
-
4月25日
創薬:脳オルガノイドを使って神経発達障害の治療法を検証するNature
-
4月25日
医学:実験室で培養された「ミニ結腸」をがん研究に用いるNature
-
4月23日
がん:複数のがん種の診断ツールNature Sustainability
-
4月16日
医学研究:一部の患者では、抗体がパーキンソン病の運動機能症状の進行を遅らせる可能性があるNature Medicine
-
4月11日
生態学:森林管理の認証制度が哺乳類の大型種と絶滅危惧種の保護に役立っているNature
-
4月11日
医学:インフルエンザ感染に伴う肺損傷の予防薬候補がマウスの試験で好結果Nature