【遺伝学】日焼けに関連すると考えられる遺伝的要因
Nature Communications
2018年5月9日
Genetics: A potential genetic link for skin tanning
日に焼けると、皮膚が黒くなるのか(サンタン)、炎症を起こして赤くなるのか(サンバーン)は、特定のゲノム領域(「座位」)の変異によって、少なくとも部分的に決まることを報告する論文が、今週掲載される。今回行われたゲノム規模関連解析(GWAS)は、過去の研究成果を発展させ、ヨーロッパ系の人々の皮膚の日焼け反応に関連すると考えられる遺伝的座位を新たに同定した。
今回、Mario Falchiたちの研究グループは、日光曝露に対する個々人の反応が、その遺伝的構成によってどのように決まるのかという疑問の解明を進めるため、多数の被験者における遺伝的多様性の解析を行った。これらの被験者に日焼けに関して自己申告させたところ、いつもサンバーンが起こり、サンタンが起こったことはない、またはサンタンは時々しか起こらないと回答した者が4万6768人、いつもサンタンでサンバーンが起こったことはないと回答した者が7万4528人だった。この結果については、別の5万5382人の追試サンプルによって再現性を確認した。今回の解析によって、10の座位において、これまで日焼け反応と関連付けられていなかった新たな多様性が明らかになった。また、AGR3/AHR座位(日焼け能力の低さと関連付けられてきた)におけるバリアントの一部が皮膚がんのリスクを高める可能性のあることも明らかになった。
Falchiたちは、今回の研究結果が日焼けと皮膚がんの自己申告(質問票による回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性があり、今回同定された遺伝的バリアントがこれらの過程で果たし得る機能的役割を確認するためには、さらなる研究を行う必要のあることを指摘している。
doi: 10.1038/s41467-018-04086-y
注目の論文
-
12月3日
神経科学:標的を絞った脳深部刺激が脊髄損傷後の歩行を改善するNature Medicine
-
11月29日
気候:2026年ワールドカップの開催地は、サッカー選手に熱ストレスのリスクをもたらすScientific Reports
-
11月26日
健康:イングランドにおけるカロリー表示の効果の評価Nature Human Behaviour
-
11月21日
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
11月21日
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
11月19日
メンタルヘルス:50歳以上の成人のウェルビーイングは、インターネットの利用によって改善される可能性があるNature Human Behaviour