注目の論文
【がん】前立腺がんの治療に期待できる抗マラリア薬
Nature Communications
2016年12月14日
Cancer: Antimalarial agent shows potential for prostate cancer treatment
抗マラリア化合物が前立腺がんとその転移を阻害することがマウスの研究で明らかになった。この結果を報告する論文が掲載される。
前立腺がんの増殖は、当初は性ホルモンのアンドロゲンとその受容体に依存している。そしてアンドロゲン受容体を阻害する薬物が前立腺がん患者に対する有効な治療法であることが臨床試験で明らかになっている。しかし、前立腺がんが進行して、別の種類のアンドロゲン受容体を発現するようになって、この阻害薬に抵抗性を示すようになることがある。この種類のアンドロゲン受容体を阻害する薬物は存在していない。
今回、Zhengfang Yiの研究グループは、新たなアンドロゲン受容体阻害剤を探索する研究を行い、天然化合物のライブラリのスクリーニングを実施して、全ての種類のアンドロゲン受容体の強力な阻害剤としてアイラントンという抗マラリア薬を同定した。細胞での実験とマウスを用いた実験のいずれにおいても、アイラントンは腫瘍細胞の増殖と転移形成を阻害した。機構的に言うと、アイラントンは、アンドロゲン受容体の安定性に関与するタンパク質と相互作用し、腫瘍細胞に含まれるアンドロゲン受容体の分解を引き起こす。
Yiたちは、現行の治療薬に対する耐性を獲得した前立腺がんの治療法としてアイラントンを検討することができ、さらなる研究と調査を行う価値があると考えている。
doi: 10.1038/ncomms13122
注目の論文
-
12月11日
医学:断食がマウスにおける乳がんのホルモン療法への反応改善と関連するNature
-
12月9日
健康:単回投与治療が脊髄性筋萎縮症の症状を改善するNature Medicine
-
12月9日
Nature's 10:2025年の科学に影響を与えた10人Nature
-
12月2日
ウイルス学:ヘテロ接合型CCR5 Δ32幹細胞移植後のHIV-1寛解Nature
-
11月20日
神経科学:言語の知覚は翻訳によって失われないNature
-
11月19日
神経科学:ダンスに対する脳の反応を解明するNature Communications
