注目の論文
化学物質でスイッチオン
Nature Chemical Biology
2009年8月31日
Flipping on a chemical switch
酵素の本来の活性化メカニズムを低分子が模倣する化学的な「オンスイッチ」が、Nature Chemical Biology(電子版)に報告される。
ある分子から別の分子にリン酸基を転移させる酵素「キナーゼ」の阻害剤は多数が知られている。しかし、キナーゼを活性化させる物質はほとんどなく、それが存在すればある種の疾患の治療に有用と考えられる。「活性化物質」がどのように作用するのかを解明することは、薬物探索の新しい道を切り開く可能性がある。
あるキナーゼPDK1は、特定のポケットにリン酸基をもつ標的キナーゼと結合すると、活性型に変化する。今回R Biondiらは、構造的および生化学的な方法により、PDK1が標的キナーゼの非存在下で物質によって活性化されることを観察した。研究チームは、その物質が、はるかに小さな分子であるにもかかわらず、標的キナーゼに結合した場合と同じようにPDK1の構造を変化させることを発見した。同じ方法で活性化されるキナーゼは多く、今回の結果はほかのキナーゼの活性化物質を設計するための青写真になると考えられる。
doi: 10.1038/nchembio.208
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