注目の論文

グルタチオンの類似物質が発見された

Nature Chemical Biology

2009年7月6日

Glutathione analogue discovered

酸化防止剤グルタチオンと同じような働き方をする新しい化合物が、Nature Chemical Biology(電子版)で紹介される。その研究成果は、一部の細菌が細胞内条件を調節する仕組みを説明するものであり、細菌の細胞機能の解明に大きな意味をもつと考えられる。

グルタチオンはチオール基をもつ短いペプチドである。チオール基の硫黄原子は、水素原子と結合した「還元」状態と、別の硫黄原子と結合した「酸化」状態との間を、容易に行き来する。それぞれの状態のペプチドの数は、細胞内でほかのどのような反応が生ずるのかということに対して重要である。多くの細菌にはグルタチオンが存在せず、そうした過程がどのように調節されているのかが明らかにされていない。

R Faheyたちは、糖残基と結合したチオール基をもつ新たな天然物として、バシリチオールを同定した。Bacillus種などの細菌がもつこの物質は、こうした細菌が細胞の状態を制御する仕組みの説明に寄与する。それにより、バシリチオールを生成および調節するタンパク質の研究がさらに進展すると考えられる。

doi: 10.1038/nchembio.189

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