注目の論文
アリの菌類栽培を助ける化合物の正体
Nature Chemical Biology
2009年3月30日
How does your fungus garden grow?
アリ、菌類、細菌類のネットワークにおける相互作用を調節する化合物が同定されたことを報告する論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。論文では、この小さな生態系の分子基盤が明らかにされている。
菌類を栽培するアリ類は、特定の菌類を栽培して食料にしているが、この有益な菌類を捕食者(例えばほかの菌類)から守る必要がある。こうしたアリは、捕食者の菌類を特異的に死滅させ、栽培している菌類に影響を与えない抗真菌剤を細菌類に産生させている。ただし、この細菌が産生する分子化合物については解明されていなかった。
今回、J Clardyらは、この3生物種によるコミュニティーを制御するのがデンチゲルマイシン(dentigerumycin)という複雑な天然物であることを明らかにし、その特徴を報告している。デンチゲルマイシンが同定されたことで、この化合物の産生過程、アリがこの化合物を利用する方法、そしてこの化合物が有害な影響を及ぼす菌類とそうでないものがある理由といった論点に関する新発見に道が開かれた。
doi: 10.1038/nchembio.159
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