注目の論文

EGFR活性部位の可逆的なスルフェニル化

Nature Chemical Biology

2011年12月12日

Reversible sulfenylation of the EGFR active site

スルフェニル化と呼ばれる細胞内のタンパク質修飾を検出するツールが、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。 EGFRという受容体チロシンキナーゼは、細胞外シグナルに反応して増殖促進経路を活性化させるが、EGFRの不適切な活性化がさまざまながんと関連付けれている。このキナーゼの活性化は、リン酸化と呼ばれる修飾に依存している。リン酸化とは別の化学修飾もタンパク質の活性に影響を与える場合がある。そうした修飾の一種であるスルフェニル化を細胞内で監視することは、これまで困難であった。 K Carrollたちが、タンパク質のスルフェニル化を検出するための高感度なプローブ、DYn-2を発表している。研究チームはこのプローブを用い、EGFRがスルフェニル化で活性化することを明らかにした。この修飾が行われる部位は、EGFRを不可逆的に阻害する潜在的な抗がん物質の標的であるため、今回の発見は、そうした抗がん剤の効果の発揮、および化学的プローブとしてそのような阻害剤を用いる実験の解釈に意味を持つ可能性がある。

doi: 10.1038/nchembio.736

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