注目の論文
βラクトンがつかまえた
Nature Chemical Biology
2008年7月28日
A beta-lactone latches on
新たな酵素を偶然に発見したという論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に掲載される。この発見は、小分子プローブの有用性を強調し、化学生物学の引き出しに新たな酵素を加えるものである。
活性利用型プローブは、特定の酵素に対してそのタンパク質機能を利用して結合する小分子である。これは、新たな酵素の同定、および巨大なクラスの細胞内酵素の活性追跡に利用されている。
R van der Hoornたちは、ペプチド結合を切断する酵素「プロテアーゼ」と結合することが予想された反応性βラクトンを用いて新しい活性利用型プローブを開発した。このβラクトンプローブは、プロテアーゼと考えられるタンパク質「RD21」と結合することが期待されていた。しかし、このプローブは、別のタンパク質のN末端に結合した。その後の生化学的解析により、RD21がこのプローブとそのタンパク質を結合させたことが明らかにされ、これによってRD21にはペプチド結合を形成させる能力があることがわかった。
RD21がペプチド結合を自然に形成させるのかどうかを見極めるにはさらに研究を進める必要があるものの、このタンパク質は化学生物学研究の分野で標識法向けに広く有用性をもつことが考えられる。
doi: 10.1038/nchembio.104
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