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関節リウマチにおける滑膜炎症過程の根底にある細胞間相互作用

Nature Reviews Rheumatology

2008年3月1日

The cellular interplay that underlies the synovial inflammatory process in RA

関節リウマチ(RA)の動物モデルで得られた結果から、インターロイキン17 を産生するCD4 陽性T細胞であるT ヘルパー17(TH17)細胞が、疾患の 進行に重要な役割を果たすことが示唆されている。Hirota らは、この過程をさらに詳しく解明するため、TH17 細胞に特異的に発現する細胞表面分子を探索 し、関節組織への遊走に関与する可能性のある分子を同定した。

ヒトRA に類似したT 細胞介在性の自己免疫性関節炎を自然に発症するSKG マウス系統を用いて、CC ケモカイン受容体6(CCR6)がTH17 細胞に発 現する主な表面分子であることが示された。CCR6の既知のリガンドであるCCL20 がTH17 細胞を滑膜組織内に引き込み、TH17 細胞はそこで炎症の第一段 階を開始させるというものである。

この過程が始まると、滑膜細胞が活性化され、いくつかの炎症性サイトカインが産生される。続いてこれらのサイトカインがCCL20 の産生を増加させ、CCL20 がさらに多くのTH17 細胞を引き寄せて正のフィードバックループを形成し悪循環をもたらす。マウスモデルでは、CCR6 に特異的なモノクローナル抗体を用いた治療によって、疾患発症までの時間が有意に延長され、抗体を投与した動物では対照群と比べて関節炎の重症度が低かった。この所見から、炎症サイクルの崩壊が示唆される。

著者らは、CCR6 の発現が自己免疫疾患、特に自己免疫性関節炎におけるTH17 細胞の機能に関与しており、これを遮断することがRA に対する有力な 治療戦略になる可能性があると結論付けている。

doi:10.1038/ncprheum0712

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