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多発性硬化症の皮質病変

Nature Reviews Neurology

2010年7月13日

Cortical lesions in multiple sclerosis

多発性硬化症(MS)は、一般に中枢神経系(CNS)の白質の慢性的な炎症性脱髄疾患と考えられている。しかし、過去10 年間の病理学的研究およびMRI による研究からは、病変は灰白質、特に大脳皮質に好発することが示されていた。これらの皮質病変の組織病理学的特徴は白質の病変とは大きく異なることから、MS の免疫病理学的プロセスは位置依存的に発現することが示唆される。Double inversion recovery 法は灰白質および病変を選択的に画像化するMRI 技術であり、これによって研究者は皮質病変をin vivo で画像化することができるようになった。この研究法では皮質病変がMS の臨床病期の最も初期の段階で検出可能であり、皮質病変の量と身体機能障害および認知機能障害の重症度との間に正の相関が認められることが示された。これらの灰白質病変はその後の疾患進行の独立した予測因子でもある。本稿では、MS の皮質病変について主な組織病理学的所見、およびMRI 所見の概要を示し、皮質病変に関するわれわれの理解が向上したことで、MS の病理生物学に関する知識が増えていることを紹介する。

doi:10.1038/nrneurol.2010.93

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