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脂肪細胞の機能と肥満における炎症性脂質メディエーター

Nature Reviews Endocrinology

2010年2月1日

Inflammatory lipid mediators in adipocyte function and obesity

多細胞生物の生存は必要に応じて発揮される感染抵抗力、栄養代謝能力、エネルギー貯蔵能力に依存している。したがってヒトの肥満状態でも、免疫制御と 代謝メカニズムが相互に作用し合っていることは驚くにあたらない。恒常的代謝制御には浸潤した免疫炎症細胞と脂肪細胞の双方が重大な役割を果たしていることから、これら2 つの細胞機能を調節する因子について理解する必要がある。肥満に伴う代謝機能障害に関して現在有力視されているパラダイムは、栄養素および/ または脂質による慢性かつ過剰な負荷(脂肪細胞毒性)によって細胞ストレスが生じ、免疫炎症細胞と脂肪細胞の間で病的シグナル伝達が惹起され、持続するというものである。脂質メディエーターの多くはG 蛋白共役受容体やToll 様受容体と結合し、生物学的作用を発揮する。正常状態ではこのシグナルが 厳密に制御されているが、それが破綻すると病態が発症・増悪する。脂質による細胞への過剰な負荷が炎症の引き金になるという成績がきっかけとなり、脂質メディエーターが果たす役割についての研究が進展している。本稿では、脂質メディエーターが重要な種々の免疫受容体に作用することによって軽度の組織炎症が生じ、その結果、代謝および脂肪細胞の機能障害が生じるという仮説を論評する。

doi:10.1038/nrendo.2009.264

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