Research Highlights

別の治療法

Nature Reviews Cancer

2006年2月1日

局所限局型食道癌には通常、術前化学放射線療法による治療を実施するが、このような方法の転帰は予測困難であり、望ましくない結末を迎えることが多い。Luthraらは現在、遺伝子発現プロファイリングを用いて治療反応のバイオマーカーとなりうるものを発見している。

局所限局型食道癌患者は、5年生存率が20%に満たない。ここ数十年で発生率は急上昇しているが、生存率はまったく改善をみていない。化学放射線療法に対する反応が良好な患者と、そうでない患者とを見分けることができれば、生存率は改善するものと思われる。今のところ、組織学的要因および人口統計的要因のいずれを用いても、それをうまく区別することはできない。

Luthraらは、後に化学放射線治療を受ける患者19例の生検を実施し、その試料を遺伝子発現プロファイリングに供した。治療から5〜6週間後、手術で採取した試料に残存している癌細胞の有無によって病理学的転帰を推定した。

発現プロフィールのみに基づいた自動分析により、患者は9例と10例の明確な2クラスに分かれた。これに病理学的転帰のデータを重ね合わせてみたところ、癌が残存していなかった患者6例中5例が、一方のクラスに属していたことが明らかになった。Luthraらは、個々のアポトーシス遺伝子と分化遺伝子とを併用すれば、両クラスを識別できることを示したのである。

結果については、サンプル数が少ないため、ほかの患者を用いてその妥当性を確認する必要があるが、治療反応と相関する食道癌の分子的特徴を明らかにしたものはこれが初めてである。すぐれたバイオマーカーは、ほかにも続いて現れると考えられ、そうすればテーラーメイド治療が可能になる。

doi:10.1038/nrc1808

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