Research Highlights

技術 / 癌遺伝子 / 治療法 / 化学防御

Nature Reviews Cancer

2003年3月1日

技術

患者の循環抗体レパートリーの指紋法

inz, P. J.et al. Nature Biotechnol. 21, 57-63(2003)

抗癌治療に用いる分子標的の同定は重要な目標である。これをなし遂げる一手がNature Biotechnologyで述べられている。前立腺癌患者の血清から精製した抗体に認識されるペプチド群がファージディスプレイシステムで単離され、GRP78 タンパク質のコンセンサスモチーフが癌患者由来の抗体群に選択的に結合することが 明らかになった。これは病気の進行や患者の生存期間の短さとも関連が認められた。

癌遺伝子

ランスジェニックマウスの乳管上皮におけるNeuの条件活性化は肺転移を退行させる

oody, S. E.et al. Cancer Cell. 2, 451-461(2002)

1つの癌遺伝子の阻害により腫瘍の進行を止められるかどうかは、論争中の重要な問題である。MoodyらはトランスジェニックマウスのNeu癌遺伝子を調べ、乳癌 が肺へ転移した後でも、癌遺伝子のスイッチを切れば癌をあと戻りさせられることを明らかにした。しかし、退行後、ほとんどのマウスは腫瘍がNeuに依存しない状態へ進行してしまうことから、あらためて癌の復元力を思い知らされる。

治療法

ンナビノイド受容体の活性化により、生体内での皮膚癌の増殖と血管新生が阻害される

asanova, M. L.et al. J. Clin. Invest. 111, 43-50(2003)

カンナビノイドは神経膠腫の増殖を阻害することが以前に示されている。Casanovaらは、よくある種類の癌の1つである非黒色腫型皮膚癌にもカンナビノイドが同じ効果をもつかどうかを研究した。カンナビノイド受容体CB1およびCB2は皮膚で発現する。これらをCB1/CB2作動 薬で活性化すると腫瘍化皮膚細胞が細胞死し、ヌードマウスの悪性腫瘍の増殖が阻害され、血管新生が減少する。

化学防御

ルチプラズによるグルタチオンS‐トランスフェラーゼ誘導における、ホスファチジルイノシトール3‐キナーゼ依存性CCAAT/エンハンサー結合タンパク質‐βの活性化の主要な役割

ang, K. W.et al. J. Natl. Cancer Instit. 95, 53-66(2003)

化学防御薬オルチプラズは解毒酵素グルタチオンS‐ トランスフェラーゼ(GST)の誘導によって作用するが、何がその転写を仲介するのだろうか。Kangらは転写におけるC/EBPの役割を調べ、オルチプラズが、PI3K依存的にC/EBPβの核移行とプロモーター応答配列への結合を生じさせ、GSTA2の発現を誘導することを見いだした。

doi:10.1038/nrc1003b

「レビューハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度