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Nature Reviews Cancer

2004年12月1日

複数のキナーゼを不活化する能力は、イマチニブ(Glivec)の広範な臨床効果が示すように、低分子量の阻害因子の特徴として望ましいものである。この特徴をもつように薬物をデザインすることはできるのだろうか。James Brownらは、(特にATP結合領域の)オーロラキナーゼ配列の進化的分析を実施し、このファミリーの複数メンバーに狙いを定める最善の方法を発見した。

セリン/スレオニンキナーゼのオーロラファミリーは、細胞分裂を調節し、その発現レベルは腫瘍の種類によって異なる。製薬会社がこのタンパク質のATP結合領域を標的にする低分子をすでに開発しており、この薬物は、in vitro でもin vivoでも腫瘍細胞増殖を途絶させることができる。哺乳動物にはオーロラA、オーロラBおよびオーロラCがあるが、カエル、ショウジョウバエおよび線虫類はオーロラAおよびオーロラのみを有する。真菌はオーロラ相同体をひとつのみ発現する。Brownらは、上記相同体すべての配列を分析し、ヒト遺伝子と最も密接に関わり、動物モデルおよび阻害因子のデザインを研究するのに最適なタンパク質領域を明らかにした。

オーロラAは全脊椎動物にあまねく存在するが、オーロラBおよびオーロラCは哺乳動物の遺伝子重複から生じることがわかった。また、ATP結合領域を比較したところ、オーロラBとオーロラCのヒト相同体は、活性部位におけるアミノ酸26 個の伸長が同一であり、オーロラAの3残基のみが異なっていることがわかった。この領域を標的とするようデザインされた阻害因子は、これらの酵素の2つまたは3つすべての機能を遮断できると見られ、そのために腫瘍抵抗性を生じにくいのではないかと考えられる。

doi:10.1038/nrc1511

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