Research Press Release
好中球の新しいDNAセンサー
Nature Immunology
2015年3月3日
マウスとヒトの好中球という特殊な白血球細胞では、タンパク質Sox2が細菌のDNAを検出して、免疫応答の引き金を引くことが明らかになった。
Sox2は胚発生の際に重要な役割を担い、成体細胞を人工多能性幹細胞(iPS細胞)に変換する。胚性幹細胞ではSox2は核に局在し、DNAと相互作用して、発生に関わる遺伝子の発現を制御する。今回Zusen Fanたちは、哺乳類の好中球では、Sox2が細胞質に存在することを明らかにした。好中球は、体内に侵入してくる病原体に対する防御の最前線で働く細胞である。Sox2はこの細胞内で、いくつかの病原菌のDNAを直接認識し、抗菌免疫応答につながる経路を活性化する。このSox2のDNAセンサー機能は好中球に特異的で、自然免疫系で働く他の細胞には見られない。このような機能分化が起こった進化的な背景は不明だが、この予想外の機能から、感染症の新たな治療戦略が生まれるかもしれない。
doi:10.1038/ni.3117
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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