Research Press Release

カバの起源の謎解き

Nature Communications

2015年2月25日

ケニアのLokoneで新たに出土したアントラコテリウム科動物の化石をカバの祖先と結論づけた論文が、今週掲載される。この化石は、謎に包まれたカバの起源の解き明かしに役立っており、この化石動物は約3000万年前にアフリカに侵入した初めての大型哺乳類とされる。

カバとクジラ類(クジラ、イルカ、ネズミイルカ)は単一の分類群に属しており、その共通祖先はアントラコテリウム科の動物(カバに似た絶滅種)とされる。クジラ類の進化を実証する化石標本は数多く存在するが、こうした祖先動物とカバの関係については、化石記録による裏付けが十分になされておらず、現存のカバの祖先は特定されていない。

Fabrice Lihoreauたちの論文には、漸新世(約3390~2300万年前)の堆積層で発見されたアントラコテリウム科動物の化石について記述されている。このアントラコテリウム科動物は、Lokoneで最も多く存在する大型哺乳類で、カバ科動物の独特な歯の形態につながった可能性のある進化的変化など、カバの進化における機能的に中間的な特徴が数多く見られる。Lihoreauたちは、この化石が漸新世の新属新種のものだと考えており、その結果、アフリカのカバ科動物の進化史が古第三紀までさかのぼり、現生のカバが長い歴史のあるアフリカ大陸に固有の動物の記録に加わった。

doi:10.1038/ncomms7264

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度