Research Press Release
【がん】がん細胞と正常な細胞の界面を調べる
Nature Communications
2014年12月10日
がん細胞と非がん細胞の界面をこれまでよりも正確にモデル化する方法についての報告が、今週掲載される。この方法で、腫瘍の進行と治療介入の有効性について理解が進む可能性がある。
がんの進行は、遺伝子発現の複雑な変化と関連づけられており、細胞の正確な物理的位置が何らかの役割を果たしていると考えられている。がん細胞と正常な細胞の界面に近い細胞は、遠くにある細胞と異なる遺伝子発現プロファイルを有していることがあるのだ。
今回、Biju Parekkadanたちは、がん細胞と非がん細胞を別々の空間的区画にまとめ、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法によって個々の細胞を取り出して、分子解析を行うシステムを開発した。
Parekkadanたちは、この新しい方法を用いて、リバーシンという抗がん剤が、がん細胞と正常な細胞の界面に物理的に近い細胞に最も効果的なことを明らかにした。この知見は、その後のマウスを用いた試験で裏付けられた。このParekkadanたちのモデルは、これと同じように作用する他の薬剤を同定し、すでに用いられている抗がん剤による治療法の微調整にも利用できる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms6662
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
