Research Press Release
【鉄鋼製造】鋳鋼の欠陥解消へ一歩前進
Nature Communications
2014年11月26日
鋳造時の鋼の品質低下に関与する機構についての報告が、今週掲載される。この発見は、鋼の製造に変革をもたらし、年間5000万トン生産される鋼塊、厚板鋼、鋳鋼品の品質を向上させるための実用的な方法につながる可能性がある。
鋼は、さまざまな元素を用いて作られる合金だが、その作製に伴う問題で初期不良の原因となっているのが、凝固時に鋼材中の元素が不均一に分布すること(「偏析」)だ。偏析については、その発生原因が一部解明されている(例えば、鋳造工程における対流)が、現在でも鋼の製造にとっての課題となっており、原因の十分な説明はされていない。
今回、Dianzhong Liたちは、酸素と軽金属が形成する化合物に基づく不純物によって材料の流動が起こり、鋳造時に成分が不均一に分布するという機構を発見した。また、最大650トンの大型鋳鋼品を用いた実験では、鋼の酸素含有量を減らすことで偏析を避けることができることが分かった。従って、酸素濃度の制御は今後、鋼の製造で品質を向上させる有望な方法となる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms6572
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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