【エボラ出血熱】有効な治療用抗体の特性を分子レベルで調べる
Scientific Reports
2014年11月6日
エボラ出血熱の実験的治療薬ZMAbの詳細な解析が行われ、ZMAbがエボラウイルスを認識し、中和する過程の解明が進んだ。この研究の詳細な報告が、今週掲載される。今回の研究では、ZMAbがエボラウイルス上の構造体に特異的に結合して、ウイルスを効率的に中和することが確認された。また、この研究は、治療用抗体の標的となるタンパク質の構造と抗体の結合部位に関する情報を利用することで、エボラウイルスと類縁関係にあるウイルスに対する薬物の合理的設計が可能なことを示している。
ウイルスの表面にあるタンパク質と結合するタンパク質であるモノクローナル抗体(mAb)のカクテルは、エボラウイルス感染の治療と予防に有望なことが既に明らかになっている。そうしたカクテルの1つがZMAbで、その中身は、エボラウイルスに対するワクチンを接種したマウスから抽出した3種の抗体だ。今回、Xiangguo Qiuたちは、この3種のモノクローナル抗体の分子的特性をさらに詳しく調べ、3種ともエボラウイルスMayinga株(1976年にザイールで流行したエボラウイルスの変異株)を中和することを明らかにした。また、Qiuたちは、3種のモノクローナル抗体の標的が、エボラウイルスの表面にある糖タンパク質の特定の部分、つまり、グリカンキャップという領域と2つのタンパク質サブユニットGP1、GP2の界面であることも実証した。以上の結果は、GP1-GP2界面とグリカンキャップを標的とする抗体の組み合わせがエボラウイルス感染に対する防御に必要なことを示唆している。
doi:10.1038/srep06881
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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