Research Press Release
神経精神疾患を引き起こす遺伝子変異
Nature Genetics
2014年9月15日
まれな遺伝性疾患を同定する方法が新たに考案され、この方法を用いて、いくつかの神経精神疾患に関係する遺伝子変異が見つかった。
発達遅延、知的能力障害などの神経精神疾患は、非常にまれな遺伝的変異に関連していることが多い。まれな変異が1つの遺伝子だけに影響を及ぼしている場合には、変異の同定は容易ではない。一方、染色体の大きな領域が欠失あるいは重複している場合は、発見は容易だが、影響を受ける遺伝子がたくさんに及んでしまう。
今回、E Eichlerたちは、29,085人の発達遅延の子どものデータを用いて、こうした大きな領域の欠失と重複、つまりコピー数の変化(CNV)の大規模な地図を作成した。次にEichlerたちは、この情報を発達障害における既知の単一遺伝子変異と統合させて、いずれかのタイプの発達障害を引き起こす可能性のある10個の遺伝子変異を見つけた。特に、SETBP1とZMYND11の2つの遺伝子は、新たに発見された発達障害に関係することが分かった。また、SETBP1遺伝子変異を持つ患者は、知的能力障害と言語機能障害を抱えており、ZMYND11遺伝子変異を持つ患者は、自閉症、攻撃行動、ADHDなどさまざまな特徴を有していた。
doi:10.1038/ng.3092
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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