Research Press Release
【環境】福島で採取された放射性物質を摂取したチョウに影響が確認された
Scientific Reports
2014年5月15日
東京電力福島第一原子力発電所の周辺地域で放射性物質の含まれた植物材料を採取し、それをチョウの幼虫に与えたところ、異常と早期死亡を起こしやすくなった。この新知見を報告する論文が、今週掲載される。
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故で、大量の放射性物質が環境中に放出された。これまでの研究では、こうした放射性物質に曝露したヤマトシジミ(Zizeeria maha)が生理的、遺伝的影響を受ける可能性が示されていた。今回、大瀧丈二(おおたき・じょうじ)たちは、福島県内の汚染地域の放射性物質がヤマトシジミの一生における放射性核種の摂取量にどのように寄与し、どのような生物学的影響を及ぼすのかを調べた。今回の研究では、放射性物質の含まれた植物材料を福島県内の複数の地点で採取して、沖縄に生息するヤマトシジミの幼虫に与える実験が行われた。(沖縄県は、福島県の約1,000マイル(約1,600キロメートル)南方に位置している。)
その結果、福島第一原発から放出された人工セシウムを比較的少量含んだ葉を摂取したヤマトシジミの生存、成長と発達に計測可能な影響が生じた。今回の研究で得られた知見が、他の生物にとってどのような意味を持つと考えられるのかという点については、さらなる研究が必要となる。
doi:10.1038/srep04946
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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