Research Press Release
スペクチナミドで結核を治療
Nature Medicine
2014年1月27日
既存薬から作った誘導体が、結核の有望な臨床治療薬になるという報告が寄せられている。この研究はマウスで行われたものだが、既存薬の利用目的を変え、修飾することによって抗菌作用を高めるという方法が有効なことが実証された。
スペクチノマイシンは細菌のリボソームに結合してタンパク質合成を阻害する、天然の抗生物質だが、結核菌Mycobacterium tuberculosisに対しては弱い活性しか示さなかった。Richard Leeたちは、スペクチノマイシンから誘導体を合成して、スペクチナミドと呼ばれる新しい薬を作製した。このスペクチナミドは、培養でも感染マウスでも、結核菌の増殖を強く阻害する。これらの薬はマイコバクテリアのタンパク質合成を選択的に阻害し(真核生物のリボソームには作用しない)、重要な薬物輸送体による細胞からの除去を受けにくいために、マイコバクテリアに対する殺菌作用が強くなっている。
doi:10.1038/nm.3458
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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