Research Press Release
ラットとヒトで共通する適応調節
Nature Neuroscience
2013年10月21日
失敗から学習するために行動を変えようとする際に、ラットとヒトは共通の神経機構を用いている。
動物が以前の経験をもとに選択を調整できるようにしているのは、行動における適応調節である。ヒトでも動物でも、脳の前方にある内側前頭前野(mPFC)を損傷すると、短距離走でスタートの失敗を微調整するような誤りを監視するいろいろな作業で、動作の改善が損なわれることが知られている。ところが、mPFCがこのような行動調節を遂行している正確なしくみは不明であった。
Mark Laubachらは、合図に応答した行動適応が必要な時間推定課題について調べ、選択の誤りを調整する際にはラットとヒトとで共通する神経ネットワーク機構が使われていることを示している。Laubachらは、ラットでもヒトでも作業で誤ったときに、mPFCでの低頻度の神経活動が変更されていることを発見した。この活動は、ヒトとラットの脳の運動野に対する活動と連動しており、ラットで薬理学的にmPFCを不活性にすると行動面および運動野との連動がいずれも損なわれた。これらの結果は、げっ歯類と哺乳類の両者で、関連する制御を調整するために、mPFCが異なる脳領域の活動を同調させている可能性を示唆している。
doi:10.1038/nn.3549
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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