Research Press Release
世界の生態地域の気候変動に対する脆弱性マップ
Nature Climate Change
2013年9月16日
気候変動に最も脆弱な地域として、東南アジア、西ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、南米東部を挙げる分析結果が明らかになった。このような気候の影響に関するリスクの分布図は、保全活動における目標を定めるうえで役立つ可能性を秘めている。
リスクの分布図を作成する作業の大部分は、最も大規模な気候変動が予想される地域を特定することに焦点が置かれている。しかし、このことは、気候変動に対する脆弱性の「方程式」の一部に過ぎず、脆弱性は、各地域の生態系の感受性と適応能力によっても左右される。
今回、James Watsonたちは、世界の生態地域の気候変動に対する脆弱性を推定するために、無傷の自然植生の割合を(適応能力の尺度として)明らかにして、これまでの分析結果を充実させた。つまり、生態地域間で適応能力と気候安定性(曝露)の関係が大きく異なっていることが判明し、気候変動に対する脆弱性のホットスポットが、気候のみ焦点を置いた評価結果とは異なることが浮き彫りになったのだ。また、Watsonたちは、今回の脆弱性評価が、保全計画の立案にとって重要な意味をもつ点を強調し、空間的に明確な保全管理の指針をもたらしている。
doi:10.1038/nclimate2007
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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