Research Press Release

【植物科学】モロコシのゲノムのリシーケンシングでわかった遺伝的改良の可能性

Nature Communications

2013年8月28日

このほど、さまざまな下位分類群と地理的起源を網羅した44のモロコシ系統の全ゲノム塩基配列解読が行われた。その結果得られたデータは、モロコシ栽培種の遺伝的多様性を明確に示しており、モロコシの遺伝的改良のための重要な情報資源となっている。

モロコシは、乾燥に強く、サハラ以南のアフリカとアジアの約5億人の人々にとっての主要な食物となっているため、気候変動の状況下で増大し続ける食料需要を満たすうえで非常に重要な穀物といえる。また、モロコシは、全世界で、動物飼料の重要な供給源となっており、貴重なバイオ燃料用作物となる可能性も浮上している。今回、David Jordanたちは、モロコシの生産性やそのほかの農業経済性に関連する形質に何らかの役割を果たしている遺伝子を明らかにするため、44のモロコシ系統のゲノム塩基配列を高いカバー率で解読した。

Jordanたちは、モロコシの野生種と栽培種のゲノム塩基配列の相違点を解析することによって725個の栽培化遺伝子候補を同定し、農業生産力に何らかの役割を担っている可能性のある285個の栽培化遺伝子を報告している。今回の研究で得られた情報資源は、モロコシ以外のイネ、トウモロコシ、ダイズなどの穀物の遺伝的比較を可能にし、これらの穀物やその他の穀物に対するモロコシの適応形質の導入を促進する可能性もある。

doi:10.1038/ncomms3320

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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