Research Press Release
ゴミを除去
Nature Immunology
2013年7月29日
死んだ細胞や死にかけた細胞が体からどのようにして排出されるのかが、明らかになった。
細胞が死にかけると、すぐに血清成分の1つC1qが細胞を覆う。このC1qが細胞の除去にかかわっていると考えられてはいたが、そのしくみは不明だった。Terry Meansたちは、数種類の免疫細胞に存在するSCARF1とよばれる受容体が死にかけた細胞に結合しているC1qを認識すると、この免疫細胞が死にかけの細胞を取り込んで処理することを発見した。マウスでSCARF1の機能を阻害すると死んだ細胞が蓄積し、その後、ヒトの紅斑性狼瘡で見られるのに似た有害な炎症が起こる。
著者たちは、この除去機構の機能不全はさまざまな炎症性疾患の原因となっている可能性があり、この機構を詳しく解明すれば新たな治療法に結びつくかもしれないと述べている。
doi:10.1038/ni.2670
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
