ジャンクフード依存症
Nature Neuroscience
2010年3月29日
高カロリー食品にはまさに喫煙や薬物乱用のような依存性があることが、Nature Neuroscience(電子版)の研究で示唆されている。この結果がヒトの肥満に直接あてはまるわけではないが、ラットによる実験では高カロリー食品の過剰消費は脳内に依存症同様の反応を誘発し、ジャンクフードによって過食に陥ることが研究で明らかにされている。
薬物依存者では通常、楽しい経験に応じた報酬をつかさどる脳回路の活動が鈍ることが知られている。P Kennyらは、報酬が得られる経験に対するラットの感受性を測定した。健康的だが食欲をそそらない通常の食餌に加え、毎回ベーコン、ソーセージ、ケーキ、チョコレートなどの高カロリー食品を選ばせたところ、ラットはカロリーを過剰摂取して急速に体重が増えた。また、以前中毒性の薬物に対してみられたのと同様に、報酬感受性が急落した。この報酬応答の鈍化は、高カロリー食品を与えられなくなってから少なくとも2週間続いた。
ラットでもヒトでも真性の依存者はやはり、自分の健康に悪いことがはっきりしているのに薬物を過剰に消費しようとする。このことを試すため、研究チームは、光信号を見ると痛いフットショックを予測するようラットを訓練した。正常ラットは最もおいしいジャンクフードでさえ光信号が来ると食べるのをやめるのに、高カロリー食に慣れた肥満ラットは餌を食べ続けた。
太りすぎのラットでは、薬物を常用するヒトで報告されているのと同様に、特定のドパミン受容体レベルが低下することも見いだされた。このドパミン受容体レベルを人為的に低下させた別のラット群は、高カロリー食品を食べられる場合には報酬感受性が急速に失われた。
doi:10.1038/nn.2519
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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