古生物学:北米における異例の大きさのティラノサウルス類
Scientific Reports
2026年3月13日
ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)を含む恐竜のグループであるティラノサウルス類に属する異例の大きさの恐竜の脚骨が発見されたことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らは、このティラノサウルス類が、ティラノサウルス属(Tyrannosaurus)、タルボサウルス(Tarbosaurus)、およびズケンティラヌス(Zhuchengtyrannus)を含む大型ティラノサウルス類のグループであるティラノサウルス亜科(Tyrannosaurini)に属する初期の仲間である可能性を示唆している。
Nicholas Longrichら(バース大学〔英国〕)は、米国ニューメキシコ州のカートランド累層(Kirtland Formation)で以前発見された化石化した脛骨(けいこつ)を調査した。この地層の年代にもとづき、骨はカンパニアン後期(Late Campanian)、7400万年前のものと推定される。この脛骨は、全長960ミリメートル、直径128ミリメートルで、著者らはこれが最大級のティラノサウルス属「スー(Sue)」の脛骨と比較して、長さが84%、直径が78%に相当すると指摘している。著者らは、この骨の巨大なサイズ、寸法、真っ直ぐな骨幹、そして下端の三角形状から、ティラノサウルス属の近縁種に属する可能性を提案している。その寸法から、このティラノサウルス類の体重は約4700キログラムと推定される。これは、現時点で報告されている同時代のティラノサウルス類の中で最大となる。この脛骨の特徴をほかのティラノサウルス類と比較した結果、著者らは本種がティラノサウルス・レックスやティラノサウルス・マクレイエンシス(Tyrannosaurus mcraeensis)と共通の祖先を持つ可能性を示唆し、ティラノサウルス亜科の初期の仲間であったと推測している。
著者らは、この骨の発見と、ニューメキシコ州やテキサス州で以前発見されたティラノサウルス・マクレイエンシスを含む巨大ティラノサウルス属のような恐竜の発見が、ティラノサウルス属が現在の北米南部で進化したという仮説を支持する可能性があると示唆している。ただし、この地域の恐竜化石記録についてさらなる研究が必要であると付記している。さらに、この恐竜の確実な同定、ほかのティラノサウルス類との系統関係、そしてより正確な体長の推定のためには、より完全な化石標本が必要である。
- Article
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- Published: 12 March 2026
Longrich, N.R., Dalman, S., Lucas, S.G. et al. A large tyrannosaurid from the Late Cretaceous (Campanian) of North America. Sci Rep 16, 8371 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-38600-w
doi:10.1038/s41598-026-38600-w
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