Research Press Release

加齢:毎日のマルチビタミンは生物学的老化を遅らせるのに役立つかもしれない

Nature Medicine

2026年3月10日

958名の高齢者を対象とした研究で、マルチビタミンとマルチミネラルを含むサプリメントを2年間摂取した結果、生物学的加齢の特定マーカーが大幅に遅延した。Nature Medicine に掲載されるこの結果は、こうしたサプリメントが健康的な生物学的加齢を支える可能性を示唆しており、長期的な効果を解明するにはさらなる研究が必要であることを示す。

生物学的加齢とは、時間の経過とともに体内で生じる変化を指し、個人の暦年齢とは異なる場合がある。科学者は、血液中のDNAパターンを測定する「エピジェネティック時計」を用いて、この生物学的加齢プロセスを推定する。多くの高齢者は、食事からビタミンB12などの必須ビタミンとミネラルを十分に摂取できておらず、過去の臨床試験ではマルチビタミンとマルチミネラルを含むサプリメントが慢性疾患を減少させる可能性が示されている。しかし、これらの生物学的加齢への影響は不明であった。

Howard Sessoら(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とハーバード大学医学部〔米国〕)は、平均年齢約70歳の参加者958名を対象に、血液ベースのDNA老化マーカー5種を測定した。無作為化臨床試験の事前指定解析において、参加者はマルチビタミンとマルチミネラルの錠剤、ココア抽出物、またはプラセボのいずれかを毎日服用するよう割り当てられ、2年間の追跡調査が行われた。著者らは、死亡リスクを推定するエピジェネティック時計であるPCPhenoAge(Principal Component PhenoAge)とPCGrimAge(Principal Component GrimAge)について、マルチビタミンとマルチミネラル群の参加者は年間増加率がそれぞれ約2.6か月と1.4か月減少したことを発見した。試験開始時点で平均より早い生物学的加齢を示していた人では、PCGrimAgeへの減速効果がより大きく、約2.8か月であった。マルチビタミンとマルチミネラルは、評価対象となったほかの3つの時計には有意な影響を与えなかった。ココア抽出物は、試験した5つの時計のいずれにおいても生物学的加齢を遅らせる効果は認められなかった。

この結果は、毎日のマルチビタミンとマルチミネラルを含むサプリメントが生物学的加齢にわずかな効果をもたらす可能性を示唆している。特に、DNAベースの時計でより速く老化している人々において顕著である。著者らは、研究対象がおもに非ヒスパニック系白人であり、より大規模で多様な集団を対象とした長期の追跡調査が必要であると指摘している。

  • Article
  • Published: 09 March 2026

Li, S., Hamaya, R., Zhu, H. et al. Effects of daily multivitamin–multimineral and cocoa extract supplementation on epigenetic aging clocks in the COSMOS randomized clinical trial. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-026-04239-3

News & Views: A daily multivitamin slows the ticking of epigenetic clocks
https://www.nature.com/articles/s41591-026-04249-1

 

doi:10.1038/s41591-026-04239-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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