Research Press Release

天文学:小さな赤い点は、実は正体を隠したブラックホールかもしれない

Nature

2026年1月15日

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST:James Webb Space Telescope)のデータ解析によると、「謎めいた」天体群が遠方の銀河で「小さな赤い点」として観測されているが、これは中性ガスと電子の雲に隠れた若い超大質量ブラックホールであるかもしれないことを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この発見は、初期宇宙におけるブラックホール成長の未知の段階を示唆している。

天文学者たちは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた初期実験で検出された小さな赤い点群の正体について議論を重ねてきた。これらは、超大質量ブラックホールか星形成の兆候と考えられてきたが、そのふるまいはどちらのカテゴリーにも当てはまらなかった。

Vadim Rusakovら(マンチェスター大学〔英国〕)は、個別に研究された12個の銀河のデータと、さらに18個の銀河のデータを組み合わせて分析し、小さな赤い点群が時間とともにどのようにふるまうかを検証した。銀河中心からの放射スペクトルを研究した結果、これらのスペクトルは、ブラックホールを囲む銀河中心部の高密度ガス雲内の電子に光子が散乱することで生じていることが判明した。著者らは、ブラックホールの大きさが従来の推定値より100倍小さい可能性が高いと算出した。また、これらの小型ブラックホールは高密度ガスの繭に包まれており、その放射の大部分は繭が原因である可能性を示唆している。

著者らは、これらのブラックホールが発達初期段階にあり、X線や電波を遮断する高密度物質に埋もれているため、光が特定のパターンに変形されていると推測している。X線が非常に弱い理由など、詳細な点についてはさらなる調査が必要である。今後の観測では、この「繭段階(cocoon phase)」が一般的かどうか、また、ブラックホールや銀河の成長にどう影響するかを解明できる可能性がある。

Rusakov, V., Watson, D., Nikopoulos, G.P. et al. Little red dots as young supermassive black holes in dense ionized cocoons. Nature 649, 574–579 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09900-4

News & Views: Mysterious ‘little red dots’ could be black holes in disguise
https://www.nature.com/articles/d41586-025-04089-y

doi:10.1038/s41586-025-09900-4

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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