健康:適度な日常的な活動はアルツハイマー病に関連する認知機能の低下を遅らせるかもしれない
Nature Medicine
2025年11月4日
認知機能に問題のない高齢者を対象とした14年間の研究によると、1日5,000歩以上の歩行は、前臨床段階のアルツハイマー病患者におけるタウタンパク質の蓄積と認知機能低下を遅らせるかもしれないことを報告する論文が、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される。身体活動量とアルツハイマー病の主要なバイオマーカーとの関係を調べた初期の研究の一つであり、高齢者が病気の進行を遅らせるために達成しやすい運動目標を示唆するものである。
身体活動の不足は、アルツハイマー病の確立された危険因子であり、病状の進行を遅らせる安全かつ効果的な方法が緊急に必要とされている。動物実験では運動がアルツハイマー病関連病理を軽減する可能性が示唆されているが、身体活動がこの疾患のバイオマーカーに及ぼす影響や、ヒトにおける用量反応関係は依然不明確である。これまで、アルツハイマー病のバイオマーカーであるアミロイドおよびタウタンパク質への影響を評価するために、客観的な活動測定法を用いた研究はほとんどなく、長期にわたって実施された研究は皆無であった。
Wai-Ying Wendy Yau、Jasmeer Chhatwalら(マス・ジェネラル・ブリガム〔米国〕)は、ハーバード老化脳研究(Harvard Aging Brain Study)に参加した認知機能に問題のない高齢者294名(50~90歳)のデータを分析した。分析対象には、歩数計による身体活動量、縦断的なアミロイドおよびタウPET画像、および最大14年間にわたる年次認知機能評価が含まれる。著者らは、身体活動量が高いほどアミロイド関連認知機能低下が緩やかになることを発見し、これは身体活動の潜在的な保護効果を示唆している。この有益な効果は、アミロイド病理の変化ではなく、タウ蓄積の遅延と関連していた。タウ蓄積と認知機能は、1日5,001~7,500歩という中程度の活動レベルで頭打ちとなった。心強いことに、控えめな活動量(1日3,001~5,000歩)でも、タウ蓄積と認知機能低下の顕著な遅延が認められた。
これらの知見は、身体活動量の増加が、前臨床段階のアルツハイマー病患者におけるタウ病理と認知機能低下の遅延に寄与する可能性を示唆している。さらに、スマートウォッチなどのデジタルウェアラブルの普及に伴い、本研究は高齢の非活動的な成人層の参加促進につながる、達成可能な身体活動目標を提示している。
- Article
- Open access
- Published: 03 November 2025
Yau, WY.W., Kirn, D.R., Rabin, J.S. et al. Physical activity as a modifiable risk factor in preclinical Alzheimer’s disease. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03955-6
News: Alzheimer’s decline slows with just a few thousand steps a day
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03596-2
doi:10.1038/s41591-025-03955-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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