微生物学:食事療法に関連した腸内マイクロバイオームの変化を調べる
Nature Communications
2024年5月29日
間欠的絶食とタンパク質ペーシングは、心臓に良いカロリー制限食と比べて、腸内微生物相の多様性が高まることを示した小規模試験について報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。これらの知見は、腸内マイクロバイオームと代謝の関係を理解するために役立ち、肥満の管理戦略にとって有益な情報となる可能性がある。
腸内マイクロバイオームは、体重と体組成の制御に重要な役割を果たしており、その役割は、利用可能な栄養素の量に影響される。カロリー制限、間欠的絶食(特定の日の食物摂取を決められた時間帯に限定する)、タンパク質ペーシング(管理された量のタンパク質を決められた回数の食事で摂取する)は、体重と体組成に影響を及ぼすことが知られているが、このような食事の修正が腸内マイクロバイオームに及ぼす影響は明らかでない。
今回、Paul Arcieroらは、(1)心臓に良い地中海式カロリー制限食(米国の食事勧告に基づいたもの)の継続的摂取と(2)間欠的絶食とタンパク質ペーシングを組み込んだカロリー制限療法(IF-P)という2種類の低カロリー食事介入の効果を比較した。今回の試験は、過体重または肥満の被験者41人を対象とし、8週間にわたって実施された。
IF-Pグループの被験者は、カロリー制限食グループの被験者と比べて、軽度から中等度の胃腸障害の症状が大きく減少し、内臓脂肪が大幅に減り、腸内微生物相の多様性が増大した。特に、IF-Pは、痩せ型の表現型に関連する特定の腸内微生物の増加、体重減少に関連するサイトカインの循環血中濃度の上昇、および脂肪酸化を促進するアミノ酸代謝物の増加をもたらした。
Arcieroらは、今回の研究には、わずか8週間という試験期間や、患者プールが小さいなどの制約があったと指摘している。しかし、これらの結果は、腸内マイクロバイオームとヒトの食事との間の複雑な代謝的相互作用を洞察する手掛かりになる。こうした関連を生じさせる根本的な機構を解明し、治療法の開発可能性を探るためには、さらなる研究が必要である。
doi:10.1038/s41467-024-48355-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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