エネルギー:オーストラリアのエネルギー規制の適用における地理的格差
Nature Energy
2024年1月16日
オーストラリアの農村コミュニティーと先住民コミュニティーは、電力の小売り保護が十分に適用されていない可能性が高いことを明らかにした論文が、Nature Energyに掲載される。こうした知見は、社会から置き去りにされた手の届きにくいグループに対するエネルギー転換の影響の理解に役立つ可能性がある。
保護規制は、電力の利用とそれに伴うサービスの確保に重要な役割を担っており、遠隔地のコミュニティーが十分に認識されておらず、手続き的に無視されていることがよく理解されている。また、多くのコミュニティー、特に先住民コミュニティーは、新たな再生可能エネルギープロジェクトのために彼ら自身の土地を開発することを巡る意思決定に関して障壁に直面している。
今回、Lee Whiteらは、電力に関わる立法保護に関連する5つの指標を検討し、オーストラリアの2996の集落において、こうした保護の適用範囲をマッピングした。この指標には、生命維持装置を使用している顧客の保護、保証されたサービスレベル、太陽光発電の接続プロセス、供給停止の報告義務、明確で独立した苦情報告プロセスが含まれる。Whiteらは、適用範囲をマッピングして、保護には差があり、遠隔地の集落が複数の保護を受けていない可能性が18%以上高いことを見いだした。また、人口の少なくとも80%が先住民の集落は、複数の指標についてサービスを受けていない可能性が15%以上高いことも示唆している。Whiteらは、過半数が先住民の集団と遠隔地の集団は重複していることが多く、約500万人のオーストラリア人(約5人に1人)が、5つ全ての指標の適用を十分に受けていないと指摘している。
Whiteらは、エネルギー転換に必要な材料に恵まれている地域のこうしたコミュニティーが、彼ら自身のエネルギー需要を認識されていないリスクにさらされている可能性があることを強調している。そして、今回の結果は、全てのコミュニティー、特に歴史的に置き去りにされた先住民グループがいる地方に、平等なエネルギー保護の適用範囲を確保することの重要性を浮き彫りにしていると結論付けている。
doi:10.1038/s41560-023-01422-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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