ロボット工学:回転運動によって多方向に移動するミリメートルスケールの折り紙ロボット
Nature Communications
2022年6月15日
磁石と折り紙折りを利用し、回転による多方向移動を実現したミリメートルスケールの折り紙ロボットを記述した論文が、Nature Communications に掲載される。このロボットは、水陸両用で、さまざまな環境での移動運動ができ、制御された薬液送達や目標への固形積荷の輸送などのタスクを実行できる。
ミリメートルスケールのワイヤレス折り紙ロボットは、さまざまなタスクを実行できる可能性を秘めており、生物医学的応用の可能性もある。しかし、既存の折り紙ロボットは、多機能性を実現するために複雑なシステムを必要とするだけでなく、移動運動の様式が限られており、地上でも水中でも動けるロボットは実現していない。
今回、Ruike Renee Zhaoたちは、回転機能を備えたワイヤレス水陸両用ミリロボットを開発し、転がったり、反転したり、回転したりできるようにした。このミリロボットは、断面直径が7.8 mmで、クレスリング折りを施した折り紙(三角形状からなる多面体構造が織り込まれた中空円筒)に磁気板が取り付けられている。このロボットは、折り紙を折りたたみ、展開する機能を使って、転がり、反転し、回転する。また、このロボットの折りたたみ/展開性によりポンプ作用を生み出すことができ、薬液の送達が可能になる。Zhaoたちは、このロボットの回転運動が、積荷の輸送のための吸引機構になることも指摘している。
Zhaoたちは、このミリロボットが、やがて生物医学的診断と治療のために用いる低侵襲デバイスとして役立つようになる可能性があると結論付けている。
doi:10.1038/s41467-022-30802-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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