Research Press Release

COVID-19:コロナワクチン未接種者がオミクロン株に感染しても他の変異株に対する有効な免疫を獲得しない

Nature

2022年5月18日

ワクチン接種をしていない人が重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)オミクロン変異株に感染した場合には、デルタ株など他の変異株に対する有効な免疫が得られないという研究結果を示した最新の論文がNature に掲載される。これに対して、ワクチン接種をした人がその後にオミクロン株に感染した場合は、他の変異株に対する免疫を獲得していた。

今回、Melanie Ottたちは、マウスモデルを用いて、SARS-CoV-2の野生型(WA1)、デルタ株とオミクロン株の感染を調べた結果、オミクロン株に感染した場合はWA1とデルタ株に感染した場合と比べて症状が有意に軽く、誘導された免疫応答も低かったことを報告している。Ottたちは、マウスがSARS-CoV-2に感染してから7日後に血清を採取し、WA1、アルファ株、ベータ株、デルタ株とオミクロン株に対する中和効率を調べた。オミクロン株に感染したマウスから採取した血清は、オミクロン株に対してのみ中和活性を誘導した。これとは対照的に、デルタ株に感染したマウスから採取した血清は、WA1、アルファ株、ベータ株とデルタ株に対して有効な中和活性を示し、オミクロン株に対しては、ある程度の中和活性を示した。そして、WA1に感染したマウスに由来する血清は、WA1とアルファ株に対して有効な中和活性を示し、ベータ株とデルタ株に対しては、ある程度の中和活性を示した。これらの結果は、感染から9日後に再現された。

次にOttたちは、オミクロン株感染から回復したワクチン未接種者(10人)から採取した血清を用いて、オミクロン株に感染しても、他の変異株に対する有効な中和活性が獲得されないことを確認した。これらの血清は、オミクロン株に対してのみ有効な中和活性を示し、マウスの実験での観察結果と同じだった。

これに対して、オミクロン株またはデルタ株のブレイクスルー感染が確認されたワクチン接種者から採取した血清は、全ての変異株に対して有効な中和活性を示した。以上の研究知見は、ワクチン接種後のオミクロン株またはデルタ株のブレイクスルー感染が、全ての変異株に対する「ハイブリッド免疫」を誘導し、SARS-CoV-2感染に対する広範な防御をもたらすことで、既存の免疫を強化できることを示唆している。

doi:10.1038/s41586-022-04865-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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