Research Press Release
高速で感度の高い配列解読法
Nature Methods
2011年6月13日
スピードに感度の高さを兼ね備えたDNA配列解読法が、Nature Methods(電子版)で発表される。
高処理能配列解読法は生物学および医学の大幅な進歩に寄与してきたが、改善の余地は残されている。従来の方法では、スピードと能力および感度の高さとが両立されていない。
S Xieたちは今回、蛍光発生配列解読法(fluorogenic sequencing)と命名した方法で、そのすべてを同時に実現した。研究チームは、配列を解読しようとするDNAを、微小流体装置の中に並べられたマイクロウェルに閉じ込めた。そしてこれに、ヌクレオチドと結合しているときには蛍光を発しない同一の色素で標識した4種類のヌクレオチドを連続的に加えた。伸長するDNAの鎖にこのヌクレオチドが取り込まれると、その色素が切り離されて蛍光が発せられ、容易に検出される。
現在は原理を実証する段階であるが、蛍光発生配列解読法には、微小流体プラットフォームに入れるマイクロウェルを増やせば大規模化することができる、高速の蛍光走査法を利用すれば高速化することができる、マイクロウェルの量を減らせばコストを削減することができる、という多くの特長がある。
doi:10.1038/nmeth.1629
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
