神経科学:ドーパミンがマウスの妊娠中の食物への渇望の原因となる
Nature Metabolism
2022年4月5日
妊娠中の食物への渇望は、脳の報酬系内のドーパミンシグナル伝達によって引き起こされることを示した論文が、Nature Metabolism に掲載される。これらは予備的な知見だが、さらに、こうした摂食行動が子孫に長期的な代謝への影響を及ぼす可能性があることも明らかになった。今回の知見は、妊娠に伴う食物への渇望をもたらす神経基盤に関する手掛かりとなる。
妊娠中に、特においしい食物に対する食欲が非常に高まる(体重の増加や肥満の発症の一因になる)のはよくあることだが、こういった行動は実験室でモデル化することが難しいためもあって、その神経学的基盤はいまだによく分かっていない。
今回、Haddad-Tóvolliたちは、妊娠中のマウスで食物への渇望によく似た行動を測定できる実験系を設計した。Tóvolliたちは、妊娠が脳、特にドーパミン作動性回路の要素の接続性に影響することを明らかにした。この回路は、報酬刺激の知覚に関与し、食物への渇望に似た症状を引き起こす。食物への渇望に似た行動をとることを許された妊娠マウスから産まれた仔マウスにも影響は及び、対照群と比較すると、成体期に体重が増加し、不安に似た行動や摂食障害が発生しやすくなった。また、雄マウスは、雌マウスに比べてこういった行動が生じやすかった。
関連するNews & Viewsでは、Serge LuquetとGiuseppe Gangarossaが、「妊娠中の脆弱性の窓の確立に寄与するホルモン因子、栄養因子、環境因子を特定し、また、妊娠中の食物への渇望症状の発生に対する脳のレジリエンスや感受性にはヒトの遺伝的多型が関わっているのかを調べるためには、さらなる研究が必要である」と述べている。
doi:10.1038/s42255-022-00557-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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