人類学:サハラ以南の古代人は地元に根付いた生活をしていた
Nature
2022年2月24日
古代人のDNAの研究が行われ、更新世末期にサハラ砂漠以南のアフリカに居住していた採集民が、地元に根付いた生活様式を好んでいたことが示唆された。この知見を報告する論文が、Nature に掲載される。今回の研究で、サハラ砂漠以南のアフリカから報告された古代DNAの時間的深度が2倍になり、アフリカの人類集団史に関する新たな知見が得られた。
これまで、アフリカの古代人の集団史を解明することは困難だった。これは、最近の5000年間の遊牧民と農民の動きによって、それより古い時代の人類集団の構造の解明が難しくなったことによる。今回、Mary Prendergast、David Reichたちは、さらに古い時代について調べるため、古代人34人のゲノム情報の研究を行った。このゲノム情報には、過去1万8000年間にわたるアフリカ東部と中南部に由来する6つの新たに生成されたデータセットが含まれている。その結果、3つの高度に分岐した源集団が特定された。第1がアフリカ東部に由来する集団、第2がアフリカ南部に由来する集団、第3がこれまで未評価だった系統で、現在、アフリカ中部の熱帯雨林で生活している採集民に最も高いレベルで見られる。
これまでの考古学に基づいた研究では、更新世の終わりに近づくと、生活が地域化する傾向が強まったことが示唆されている。この仮説を裏付けるさらなる証拠が、今回のゲノム研究によって得られた。新たに浮上したシナリオは、約5万年前にアフリカの東部、南部、中部の集団間で混合と移動があったというものだ。これにより、1つの人類集団の構造が形成され、それが約2万年前の更新世末期まで極めて安定的に推移し、人類の生活の地域化傾向が強まった。
doi:10.1038/s41586-022-04430-9
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