数学:ソーシャルメディアのインフルエンサーが登場する過程を調べる
Nature Communications
2021年12月1日
ユーザー生成コンテンツの質に立脚したソーシャルメディアプラットフォーム上での、コミュニティーの形成とインフルエンサーの台頭を記述するモデルについて報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、ソーシャルメディアのインフルエンサーがどのようにして出現するかについての理解を深めるために役立つかもしれない。
ソーシャルネットワークは、情報を広める際に中心的役割を果たせることが多く、世論に影響を与えることもあるが、こうしたソーシャルメディアのプラットフォーム内で起こる現象についての解明は依然として難しい。多くの人気ソーシャルメディアプラットフォーム(インスタグラム、ユーチューブ、ティックトック、ツイッターなど)では、ユーザーがコンテンツを共有したり、他のユーザーのコンテンツと積極的に交流したりして、バーチャルな友人関係を形成している。ユーザーの興味に基づいたコミュニティーは、自身のコンテンツによって他のユーザーに影響を与えることができる著名なユーザーを介して発生することが多い。
今回、Nicolò Pagan、Wenjun Meiたちは、ソーシャルネットワーク形成の数理モデルを提案している。このモデルでは、ユーザーは、自分の興味に照らして判断したコンテンツの質に基づいて、互いにリンク/フォローすることを決める。次に、Paganたちは、6000人以上の科学者で構成されるネットワークにおけるツイッターのデータで、このモデルを検証した。検証結果からは、ユーザーが、受信したコンテンツの質を高めることを目指し、統合検索エンジンを使って最高品質のコンテンツ提供者を絶えず検索していることが示唆された。そして、最も質の高いコンテンツを制作しているユーザーのフォロワー数が、次に質の高いコンテンツの制作者のフォロワーの2倍になっている等のパターンが判明した。また、Paganたちは、オンラインゲームのプレーヤー向けの人気プラットフォームであるツイッチを使って、このモデルを検証した。Paganたちは、このモデルは、以前のモデルよりもリアルに人気の上昇とネットワークの形成をマッピングできると考えている。
今回の知見は、ソーシャルネットワークコミュニティーとインフルエンサーの形成機構と考えられるものに関する手掛かりになる。
doi:10.1038/s41467-021-27089-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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