工学:ヨウ素を推進剤とした電気推進宇宙探査機の実証試験が地球周回軌道上で行われた
Nature
2021年11月18日
電気推進システムを用いた宇宙探査機の性能は、高コストで保存が難しいキセノンではなく、ヨウ素を使用することで向上する可能性があることを示唆する論文が、Nature に掲載される。今回の知見は、宇宙産業においてヨウ素を代替推進剤と使用することの利点を実証している。
電気推進とは、電力を用いて推進剤から推力を生み出す方法で、現在のところ、推進剤にはキセノンが一般的に使用されている。しかし、キセノンは希少で、加圧条件下で貯蔵する必要があり、商業生産に要するコストも高い。宇宙産業の長期的な持続可能性のためには、キセノンに代わる推進剤を見つけることが重要だ。代替推進剤となり得るのがヨウ素とされ、安価で、より豊富に存在し、固体として貯蔵できることを特徴としている。ヨウ素は、地上での試験においてキセノンよりも高い効率を達成することが示されたが、ヨウ素を用いた電気推進システムによって全面的に推進される宇宙探査機が軌道上で十分に動作することを報告した論文はない。
今回、Dmytro Rafalskyiたちは、ヨウ素を用いた推進システムを搭載した小型人工衛星の軌道上運用に成功したことを報告している。この推進システムは、2020年11月6日に打ち上げられた20キログラムのCubeSat人工衛星を誘導するために宇宙で運用され、その動きは衛星追跡データを使用して確認された。ヨウ素は、有効な推進剤であるだけでなく、キセノンよりも高いイオン化効率を達成することも示された。
Rafalskyiたちは、今回の実証試験は、宇宙産業における代替推進剤の採用を加速する可能性があり、広範な宇宙ミッションにおけるヨウ素の利用可能性を示していると考えている。ヨウ素は、例えば、システムの大幅な小型化と簡素化を可能にし、その結果として、小型人工衛星や人工衛星群に対して、配置、衝突回避、使用済機材の廃棄のための新たな能力をもたらす。
doi:10.1038/s41586-021-04015-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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