Research Press Release

生態学:アマゾン盆地では森林減少と森林火災のために生物種の生息地が縮小している

Nature

2021年9月2日

アマゾン盆地に生息する絶滅危惧種の最大85%が、過去20年間に森林減少や森林火災によって生息地のかなりの部分を失った可能性のあることを示す論文が、Nature に掲載される。アマゾン盆地で1万平方キロメートルの森林が焼失すると、生息域の10%以上がアマゾン盆地に分布する約27~37種の植物種と約2~3種の脊椎動物種が新たに影響を受けると推定され、森林火災が生物多様性の高いアマゾン盆地の中心部に近づくにつれ、生物多様性への影響は増加すると予想されている。

アマゾン盆地は、地球の気候を調節する重要な役割を担っており、既知の生物種全体の10%が生息している。森林の劣化は、アマゾン盆地の生態系の回復力を脅かしており、森林面積の約21~40%が2050年までに消失すると予測されており、アマゾンの生物多様性に大きな影響を与えることになる。今回、Xiao Fengたちは、こうした影響の解明を進めるため、森林火災が過去20年間に1万1514種の植物種と3079種の動物種の地理的分布域にどのように影響してきたのかを調査した。

2001年以降、アマゾンの熱帯雨林のうちの10万3079~18万9755平方キロメートル(総面積の2.2~4.1%)で火災が発生しており、Fengたちは、この地域で絶滅危惧種の77.3~85.2%の分布域が影響を受けたと推定している。また、Fengたちは、火災件数の増えた時期が、森林減少と森林火災の増加を抑えることを目的とした政策の緩和と相関している点を指摘している。ブラジルでは、2000年代半ばに実施された森林減少の抑制策が2019年に緩和され、その後、森林火災の影響を受けた地域が増加して、予想を約20~28%上回り、推定1万2064~1万2801種の植物種や脊椎動物種の分布域に影響が及んだ。Fengたちは、以上の知見は、政策と森林火災の関連性、そして、これらの要因が生物多様性にどのように影響するかを示していると結論付けている。

doi:10.1038/s41586-021-03876-7

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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