Research Press Release

心理学:インスタグラムのユーザーはソーシャルメディア依存症を過大評価している

Scientific Reports

2025年11月28日

米国成人1,204人を対象とした研究によると、インスタグラム(Instagram)のユーザーは、自身がプラットフォームに依存している度合いを過大評価しているかもしれないことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。この結果は、大半のソーシャルメディアユーザーにとって、過度な利用は真の依存症ではなく、習慣によって引き起こされていることを示唆している。

物質や行動への依存症は、通常、使用をコントロールすることが難しい、使用への渇望を感じる、使用していないときに離脱症状を経験する、および悪影響や危害のリスクがあるにもかかわらず使用を継続する、といった一連の症状によって特徴づけられる。

Ian Anderson(カリフォルニア工科大学〔米国〕)とWendy Woodは、米国のインスタグラムユーザー380人を対象とした代表性のあるサンプル調査を行った。この調査の参加者は、女性50%、平均年齢44歳であった。また、参加者は、インスタグラムへの依存度を記述し、インスタグラムへの依存の症状について評価を受けた。その結果、参加者の18%がインスタグラムに依存していると少なくともある程度同意し、5%が強く同意したものの、依存症のリスクを示す症状を示したのはわずか2%であった。

著者らは、この不一致の潜在的な原因を探るため、2021年11月から2024年11月にかけて米国のニュースメディアで発表された記事におけるソーシャルメディア利用の記述を分析した。その結果、「ソーシャルメディア依存症」という表現を含む記事は4,383件、「ソーシャルメディアの習慣」という表現を含む記事はわずか50件であったことを確認した。これは、ソーシャルメディアの頻繁な使用は、米国のニュース記事では依存症として表現される傾向があることを示唆している。著者らは、これがユーザーのソーシャルメディア利用に対する認識に影響を与える可能性を示唆している。

著者らは、米国の成人インスタグラムユーザー824名からなる第2のサンプルを用い、頻繁なインスタグラム利用を依存症とラベル付けすることの潜在的な悪影響を調査した。著者らは、参加者にソーシャルメディア利用を依存症として捉えるよう促すと、インスタグラム利用に対する制御感が低下し、過剰利用について自身とプラットフォーム双方への非難度が高まることを発見した。

これらの調査結果を総合すると、ニュースメディアやそのほかの機関がソーシャルメディアの頻繁な利用を「依存症」とレッテル貼りする行為は、インスタグラムユーザーが自身のプラットフォーム依存度を過大評価する一因となり得る。また、ソーシャルメディア利用に対する認識に悪影響を及ぼす可能性もある。著者らによると、政策立案者やニュースメディアがソーシャルメディア利用に関して「依存症」という用語をより慎重に選択的に使用することで、この影響を軽減できるという。

Anderson, I.A., Wood, W. Overestimates of social media addiction are common but costly. Sci Rep 15, 39388 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-27053-2
 

doi:10.1038/s41598-025-27053-2

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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