材料:プラスチックの代わりになる高強度バイオ素材の作製
Nature Communications
2020年11月4日
プラスチックの代替材料として使えるかもしれない強度の高いバイオ素材の作製方法について報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。
石油を原料とするプラスチックは、環境や我々の健康との関係で課題があるが、プラスチックを、同等の機械特性を有する持続可能なバイオプラスチックに置き換えることは困難だった。均一な配向を有する微小なフィラー粒子をポリマーに配合することで、その機械特性を向上させることができるが、ポリマー中の粒子の配向を制御する方法は十分に開発されていない。
今回、Shu-Hong Yuたちの研究チームは論文の中で、圧力を使ってバイオポリマー中に微粒子を配置する手法について記述している。このバイオポリマーは、圧力が加わると厚みが減り、粒子が整列する。垂直に整列した鉱物粒子の間隙にセルロース系ポリマーを充填すると、レンガ壁に匹敵する微細構造が形成される。このレンガ–モルタル構造が、材料に優れた機械特性を付与し、多くの高性能プラスチックを上回る性能を実現する。またこの材料の機械特性は、一般的なプラスチックがもろくなったり軟化したりする温度でも安定している。Yuたちは、携帯電話ケースを作製することにより、このプロセスがスケールアップ可能で、この材料を容易に加工できることを実証した。
Yuたちは、この方法により、高性能な天然材料のスケーラブルな生産に道が開かれると結論付けている。このようなプロセスの開発は、産業と産業用途へのバイオ素材の導入を促進するために重要な意味を持つ可能性がある。
doi:10.1038/s41467-020-19174-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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