Research Press Release
肝細胞がんに関するエキソーム配列解析
Nature Genetics
2011年8月8日
肝細胞がん(HCC)の患者について実施されたエキソーム(ゲノムのタンパク質コード領域)の塩基配列解析について報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
肝細胞がんは、全世界のがん関連死の原因の第3位で、肝細胞がんと診断された者の死亡率は高い。リスク因子としては、B型またはC型肝炎ウイルスの感染やアルコール摂取などの環境要因が知られている。
今回、K Kinzlerたちは、C型肝炎ウイルス(HCV)関連肝細胞がんの患者10人のエキソーム塩基配列解析を行い、ARID2遺伝子の不活性化変異を同定し、この遺伝子が肝細胞がん抑制遺伝子の1つだと結論付けた。さらに、そのほかの症例も調べて、解析対象のC型肝炎ウイルス関連肝細胞がんの患者の18.2%においてARID2遺伝子が変異していることを突き止めた。
doi:10.1038/ng.903
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
