素粒子物理学:物質と反物質の非対称性の解明に一歩近づく
Nature
2020年4月16日
物質・反物質の関係にあるニュートリノと反ニュートリノの基本的挙動に違いがあることを示す手掛かりが得られたことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この観測結果は、日本のスーパーカミオカンデ検出器を使って行われているT2K実験によるもので、その正しさが確かめられれば、宇宙の形成を解明するうえで重要な意味を持つことになると考えられている。
ニュートリノと反ニュートリノの物理的性質の非対称性を発見することは、宇宙において物質の方が反物質よりも多く存在している原因を解明する上で役立つと考えられている。この非対称性は、荷電共役・空間反転(CP)対称性の破れとして知られている。
T2K実験に参加した研究者のグループは、スーパーカミオカンデ検出器を使って、295キロメートル離れたJ-PARC(大強度陽子加速器施設)で生成され、発射されたニュートリノと反ニュートリノを観測する実験を行った。ニュートリノと反ニュートリノは、地球上を移動する間に、異なる物理特性(フレーバー)の間で変化(振動)する。T2K共同研究では、フレーバーを変えながら実験を繰り返して、スーパーカミオカンデに到達したニュートリノと反ニュートリノの数を記録し、ニュートリノと反ニュートリノの振動の仕方が異なることを明らかにした。
T2K実験は、9年分のデータの解析を終え、これらの基本粒子におけるCP対称性の破れを示すために十分な統計的有意水準に達した。この論文に示された新知見を確かめるためには、もっと正確な測定が必要とされる。しかし、以上の測定結果は過去の観測結果を補強し、将来の発見への道を開くものといえる。建設予定の観測施設での次世代実験が始まれば、今後10年間に「行方不明の」反物質の謎解きがあるかもしれない。
doi:10.1038/s41586-020-2177-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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