【生態学】ディンゴがオーストラリアに到達したのは、これまで考えられていたより後のことなのか
Scientific Reports
2018年7月20日
野犬の1種であるディンゴがオーストラリア南部に到達したのは3348~3081年前であり、これまでの推定年代より最近のことだったとする研究報告が、今週掲載される。
今回、Jane Balme、Sue O’Connor、Stewart Fallonの研究チームは、オーストラリア南部のナラーバー平原にあるマドゥーラ洞窟で見つかった2頭のディンゴの指先の骨の化石試料を選び出し、正確な放射性炭素年代測定法の1つである加速器質量分析法(AMS)を実施し、ディンゴが、これまでに複数の研究で推定されていた5000~4000年前という範囲よりも後の、3348~3081年前にオーストラリア南部に存在していたことを明らかにした。
オーストラリアと東南アジアを結ぶ陸橋はないため、ディンゴが人間から離れて単独でオーストラリアに到達したとは考えにくい。今回の研究で得られた知見は、ディンゴが先住民のペットとして船に乗ってオーストラリアに到達した可能性があり、そのため、ディンゴの存在は、人間がオーストラリア本土の外からやって来たことを示す証拠と言えることを示唆している。また、ディンゴが人間のペットであったため、これまで考えられていたよりも早期にオーストラリア全土に広まった可能性があり、ディンゴがオーストラリアに到達した時期に関する従来の推定を修正する必要があるかもしれない。
ディンゴのオーストラリアへの到達はフクロオオカミを含む一定数の動物種の絶滅と関連している可能性があるため、ディンゴの到達時期の解明を進めることが重要だと、研究チームは述べている。
doi:10.1038/s41598-018-28324-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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