Research Press Release
【老化】テロメアの構造が明らかになる
Nature
2018年4月26日
ヒトテロメラーゼ酵素の構造について報告する論文が、今週掲載される。テロメラーゼはがんや老化に関係しているとされるため、今回の研究で得られた知見は、テロメラーゼ関連因子を利用した治療法の開発に向けた重要な一歩となる。
テロメアは、染色体の末端に付いている保護キャップで、染色体の末端が「擦り切れない」ようにする作用があり、靴ひもの両端についているプラスチック製の覆い(アグレット)に例えられてきた。テロメアは、細胞分裂が起こるたびに短くなり、なくなってしまうと細胞分裂が停止して、細胞は死滅する。テロメラーゼは、染色体の末端にDNAを付加して、テロメアがなくならないようにしている。
今回、Kathleen Collinsたちの研究グループは、溶液中で凍結したタンパク質に電子ビームを当てるクライオ(極低温)電子顕微鏡法によって、テロメラーゼの構造を決定した。臨床でのテロメラーゼの操作に向けた研究の進展は、構造データの不足によって妨げられてきたが、今回の研究で、基質に結合した分子をサブナノメートルのスケールで撮像し、これまでで最も高い分解能のテロメラーゼ酵素の画像が得られた。
doi:10.1038/s41586-018-0062-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
社会科学:オンライン上で歪められた年齢とジェンダーの表象Nature
-
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature